キャリアパス

製品が世に出た時の喜び
それを味わいたいから失敗をいとわない

電子部品事業本部 商品開発部 (取材時)
2005年入社
工学部 電気電子情報工学科卒

MY JOB

主力製品の開発に関わる重要なミッションを担当

このセクションは、主力製品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)に関わる技術全般を受け持っています。私が担当しているのは、スマートフォンを中心としたモバイル機器向けの小型大容量製品の開発。ここ最近は、需要が高まっているハイエンド商品に注力。営業部門からの顧客ニーズのフィードバックに基づき、設計から出荷にいたるあらゆる部門や工程との関わりが欠かせない仕事です。

REASON for TAIYO YUDEN

自身の知識を活かしものづくりに携われる

大学時代の専攻だった超音波モーターを振動源とした圧電体を扱っていることから、太陽誘電に関心を持ちました。自身が学んできたことを仕事で活かせるかもしれないと思ったのです。面接時にも太陽誘電がこの分野に力を入れていくことを聞き、志望の思いは強まっていきました。それと併せて、開発型のメーカーであり、常に先進性を追求していく企業姿勢はもちろん、やりたいことができる社風にも魅力を感じました。

CAREER

2005 入社。R&Dセンター システム開発部に配属。超音波アクチュエーター開発に携わる。
2006 様々な商品群の開発担当を経験し、商品開発の基本を習得する。
2008 玉村工場 商品開発部へ異動。MLCC開発に携わる。
現在 次世代向けのMLCCの開発に取り組んでいる。

FUTURE

世界に先駆け、小型大容量MLCC開発。しかし、3年間で数百回に及ぶ失敗

入社当時、小型でありながら同サイズ比で世界で最も大容量のMLCCを開発する構想がありました。難易度が高く、その頃の技術では設計できないような水準。実現の可能性は極めて低いと思われていました。

技術レベルがどうにか追いついてきたのに伴って、お客様からの開発要請をいただく機会も増えました。ようやく、その開発プロジェクトが具体化したのは、2011年のことです。

ところが、それからが苦闘の連続でした。理論的には間違いがなくても、新規技術の採用やこれまでにない工程が加わることで、実験しては失敗するといった日々。また、仮に成功しても、量産品として安定的に供給できる目途が立たなければ、意味がありません。大学時代の研究とは大きく異なり、実験を成功させることが目的ではないのです。新商品としてリリースできるように要素技術を確立させ、工程技術に導入できるようにすることが、商品開発という仕事。ものづくりの難しさは、まさにそこにあります。

実験に費やした歳月はおよそ3年間。何度となく試行錯誤を繰り返しても、なかなか見通しが立たず、時には考え込んでしまうこともありました。

以前、年末の大掃除をした際に、段ボールいっぱいの実験品が出てきたのですが、おおまかに数えてみても、数百個は下らない量。それだけの回数の実験を経てきたことに驚くとともに、感慨深いものがありました。

現在、そうやって生み出したMLCCは、無事に商品化され販売も好調です。しかも、お客様からお褒めの言葉をいただくなど、エンジニアとしての大きな自信につながる経験となりました。

何よりも製品が陽の目を見た時の喜びは、これまでの悩みや苦労を上回るほど。それこそ、エンジニアであることの醍醐味だと思っています。

信頼でき、尊敬できる人たちと共に、仕事に取り組める心強さが支えに

思うような成果が出ないまま、実験に次ぐ実験。そんな3年間を乗り越えることができた理由は一も二もなく、プロジェクトチームのメンバーがいたからだと思います。

今の私は商品開発部に籍を置いていますが、ここでの仕事は他のセクションとの連携なしには進められません。営業担当からのフィードバックに基づく仕様決定にはじまり、材料開発グループやシステム技術部と、新規材料や加工方法の共同開発を行い、量産段階になってからは製造部やビジネス企画部との製品の完成度を高めていく作業に携わっていきます。

特に、今回の開発プロジェクトでは、私が最初に配属されたシステム開発部時代の先輩や同僚と共に実験や開発に臨めたことが励みになりました。何しろ、構想を立ち上げた当初の仲間ですし、エンジニアとして信頼・尊敬できる人たちと共に、支えあって仕事に取り組めることがどれだけ心強いか…。

また、一体感を持って、目標に向かっていく姿勢もものづくりには欠かせません。それぞれの役割を理解しつつ、知恵やアドバイスで互いを補いあっていく文化が、この会社には息づいていますし、それで私自身、とても助けられました。自分一人の知識や知見だけでは解決しないことも、先輩に促されて別のアプローチから試してみると、大抵のことは解決できました。つまり、スペシャリストやエキスパートが多いということ。同じベクトルに向かう時の総合力はかなりのものではないでしょうか。

だからこそ、世界に先駆けた開発が実現できるのだと思っています。セクションは違っても、ものづくりへの熱い思いを誰もが胸に抱いている。それが太陽誘電という会社です。

常に「世界初」を生み出し続け、いつかは自分のアイデアも実現したい

今後してみたいこと、それは世界初となる製品を開発し続けることに他なりません。そのためには新たな技術を確立していかなければなりませんし、より高度でスピーディーな対応が求められます。

いうまでもないかもしれませんが、私が入社した10年前頃と比べ、現在は、技術の進歩が格段に速まっています。そのため、次の時代を視野に入れたアクションやアプローチが欠かせません。

もちろん、当社の技術開発においては、ロードマップを作成し、常に市場動向や周辺状況を把握・分析しながら、それに基づいた戦略や体制をとっています。つまり、将来のニーズに沿った形で、開発プロジェクトを速やかに立ち上げる用意ができているということ。

現在、私自身も次世代向けの製品開発に着手しています。当社の技術や製品が、いち早く世界のスタンダードを塗り替えていくことに、やりがいや誇りを感じます。誰も踏み入れたことのない領域にチャレンジしている、そう考えただけでワクワクしてきます。

仕事をする上で心がけているのは、必ず技術面でプラスαとなる何かを取り入れるということ。いわば、自分ならではの工夫や知恵を加えることです。従来のリニューアルではなく、新機軸でなければならないと、心の中でルール化しています。

また、太陽誘電では、エンジニアが提案する企画が、新たな製品開発や事業に採用されることも珍しくありません。技術者の意欲を大切にしてくれる環境が広がっているのです。

私も温めているアイデアをいつか実現させたい。そのために、もっと実績を積み重ね、プロジェクトリーダーとして他部署を含めたチームを動かせるようになりたいと思っています。