特集: 超小型・大容量・高耐圧化で積層セラミックコンデンサの未来を拓く

あらゆる電気製品に搭載され、成長し続けるMLCC

太陽誘電の主力商品であるMLCCは、私たちの身の回りにあるモバイル機器や家電、自動車など、電気・電池で駆動するすべての機器に搭載される電子部品です。

コンデンサはキャパシタとも呼ばれ、電子回路においては、一時的に電気を蓄える「蓄電」や、不要な信号を取り除く「ノイズ除去」の働きをしています。材料や構造の違いで複数の種類があり、MLCCは、非常に薄いセラミックの誘電体層と電極とを交互に積み重ねた構造をしています。コンデンサにはMLCCのほかに電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどが存在しますが、最も多く使用されているのがMLCCです。世界の年間需要数が2.5兆個以上（6,500～7,000億円）という市場規模であり、今後も成長し続ける市場です。この背景には、電子・電気製品の高性能・多機能化により搭載員数が増加していることが挙げられます。

※ MLCC＝Multilayer Ceramic Capacitor

身近な機器として携帯電話を例にとると、カメラやテレビ機能が付き始めた2006年頃のハイエンドモデルにはMLCCは約300個搭載されていました。これが小型・多機能な最新のスマートフォンでは600～800個に増加。限られたスペースに多くの部品を詰め込み、かつ機器の高機能化を支えるため、MLCCは小型化・大容量化を目指して進化してきました。また、自動車電装や産業機器、医療・ヘルスケア、環境・エネルギーといった市場では、高品質・高信頼の商品が求められ、高性能・高付加価値ニーズが拡大中です。

技術力を活かしたスーパーハイエンド戦略

当社では、高い技術力を活かして他社に先駆けて量産化した商品を「スーパーハイエンド商品」と位置付けています。商品の高付加価値化を目指し、15種類のスーパーハイエンド商品群と、それに続くNextハイエンド商品群の拡大を図っています。これらスーパーハイエンド商品15種類のうち5種類をMLCC商品が占めています。

太陽誘電のコンデンサ事業3つの特徴

当社のコンデンサ事業には、大きく3つの特徴があります。①「商品化にあたり、材料の開発から行うMLCCメーカーであること」。これはコンデンサ業界では数社のみです。この①と、②「高精度印刷・積層技術」により、業界トップレベルの超小型、超薄型、超大容量商品を生み出し続けています。また、③「日本（群馬県、新潟県）、マレーシア、中国、韓国の4カ国でグローバルに最適地生産体制、安定供給体制を構築していること」も大きな特徴です。

これらの特徴を活かし、スーパーハイエンド技術による超小型・超薄型・超大容量化でNo.1を目指しています。

MLCCの需要は、2020年頃には年間4兆個近くになると予想しています。コンデンサに対しては、携帯機器のさらなる高性能・小型化による小型・大容量化や、自動車電装・産業機器での採用拡大による高信頼化へのニーズが拡大しており、今後も続いていきます。MLCCは、電解コンデンサやフィルムコンデンサといった他のコンデンサに比べて小型・薄型化に優れ、長寿命・高信頼という特長があり、これらの市場ニーズにマッチした商品展開が期待されています。

太陽誘電は、機器の性能向上によるMLCC搭載員数増加による需要増加で事業を拡大するだけでなく、世界最高レベルの技術力という強みを発揮して新商品開発を積極的に展開し、電解コンデンサやフィルムコンデンサといった他コンデンサ市場を攻略することで潜在需要を掘り起こし、需要規模の拡大や新規需要創出を進めていきます。