事業概況研究開発活動

太陽誘電グループは、独自の要素技術にさらに磨きをかけ、お客様に高く評価していただける商品を創出するべく、研究開発を進めています。材料技術、プロセス技術、設計技術、生産技術等の各要素技術をさらに高度化することで、小型・薄型化、デジタル化、多機能化、モジュール化等、機器の技術的要求に対応した各種チップ部品、回路モジュール、高周波部品、ノイズ対策部品等におけるスーパーハイエンド商品の開発に取り組んでいます。

研究開発方針

  • 技術の先行性

    商品開発の前に技術開発を先行させ、かつ、世の中のレベルよりも先行していること

  • 技術の汎用性

    開発した技術が特定の商品に応用されるだけではなく、汎用性のある技術であること

  • 技術の合理的環境適合性

    開発した技術が生産に対して合理的であり、かつ、環境負荷に配慮された技術であること

  • No.1の技術

    「世界一」「世界初」を目指すこだわりをもつこと

研究開発最前線

フロントエンドモジュール*の競争力を高めるために
SAW/FBAR デバイスとEOMIN®の開発を強化しています。

SAW/FBARデバイスは主にスマートフォンなどのモバイルネットワーク端末に搭載されており、モバイルコミュニケーションに欠かせない部品です。一方、部品内蔵配線板「EOMIN®」は、銅コアを採用しており、ノイズ耐性や放熱性などに優れ、モジュールを大幅に小型化することが可能な商品。

スマートフォンの多機能化、マルチバンド化はますます進んでいます。それに伴い、搭載部品の数は増加傾向にありますが、機器自体は小型・薄型であることが求められます。太陽誘電は、SAW/FBARデバイスと「EOMIN®」とを組み合わせて、高性能なフロントエンドモジュールを生み出し、市場のニーズに応えることが可能だと考えています。

太陽誘電グループは、独自の開発技術力と生産技術を活かして、付加価値の高いスーパーハイエンド商品を多く供給していく体制を整えています。SAW/FBARデバイスと「EOMIN®」の融合についても、引き続き研究開発を進めていきます。

*フロントエンドモジュール
アンテナの送受信部分に必要な回路を、一つのモジュールとして機能を一体化したもの。

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主な活動

2012年3月期の研究開発費は80億68百万円でした。以下に、主な研究開発活動をご紹介します。

電子部品事業

コンデンサ

積層セラミックコンデンサ

誘電体の材料技術、薄膜・大容量化技術及び超小型品生産技術等を高度化することにより、誘電体の厚みがサブミクロン(1μm未満)レベルでの安定量産技術を確立しました。また、1,000層に迫る多積層技術を開発することで、電解コンデンサ市場を置換する商品として3216サイズ(3.2mm×1.6mm)と3225サイズ(3.2mm×2.5mm)でそれぞれ220μFの量産化に成功しました。それらの技術を応用し、今後はスマートフォン市場向け新商品の生産拡大を実施していきます。

エネルギーデバイス(キャパシタ)*

主にスマートフォンやデジタルカメラのバックアップ用途として採用されているポリアセンキャパシタにおいて、業界最小サイズのコイン型(3.8mmΦ×1.1mm)と、角型(3.2mm×2.5mm)の量産に加え、低インピーダンスの特長を持つ薄型ポリアセンキャパシタの量産出荷を開始しました。さらに、電気二重層キャパシタの原理を応用し、負極にリチウムイオンを添加することにより、エネルギー密度を向上させたシリンダ型リチウムイオンキャパシタの量産に加え、薄型リチウムイオンキャパシタの開発を進めています。今後も、成長が期待されるエネルギーデバイス分野において市場ニーズに対応した、魅力ある新商品を提案していきます。

*2013年3月期から、「その他電子部品」に区分変更となりました。

フェライト及び応用製品

積層チップインダクタ

市場拡大が続く携帯機器のDC-DCコンバータ向けの積層チョークコイルのラインナップ拡充に注力し、1608サイズ(1.6mm×0.8mm)、高さわずか0.33mmという小型・薄型商品の量産を開始しました。一方、携帯機器の高周波回路に使用される高周波積層インダクタについては、0603サイズ(0.6mm×0.3mm)および0402サイズ(0.4mm×0.2mm)にて、Q特性を向上した業界最先端レベルとなる商品を開発し、量産を開始しました。今後も技術を進化させ、小型で高性能な商品の開発を進めていきます。

巻線インダクタ

電源回路向けの表面実装型巻線インダクタにおいて、特に市場が拡大しているスマートフォン向けのDC-DCコンバータ用のチョークコイルの開発に注力してきました。その成果として、市場からの要求の強い小型化に応える2mm角サイズの量産を開始いたしました。一方、さらなる小型大電流化への要求に対応するため、メタル系新材料の開発および生産技術を確立しメタル系パワーインダクタ「MCOIL®」の量産を開始しました。今後は、「MCOIL®」のラインナップを拡充するとともに量産を拡大し、競争力と商品力の強化を進めていきます。また、市場のニーズに合致したラインナップの拡充を積極的に行うことで、魅力ある新商品を提案していきます。

モジュール

複合機能モジュール

市場からの省エネに対する強い要求に応え、低消費電力化を目指した電源技術の構築を進めるとともに、照明機器やテレビ用バックライト等のLED化に対応する技術構築を進め、多数の差別化商品を投入しました。今後は、よりいっそうの省エネニーズに対応するとともに、小型、薄型、高効率等の強みを持つ複合機能モジュールの開発を進めていきます。また、さらなる低消費電力化とエネルギーの再利用を可能とするため、電源技術の応用展開と独自開発の制御技術、電力技術を活用し、競争力確保と商品力強化を進めていきます。

無線通信モジュール

近距離無線通信市場の拡大に合わせ、小型低背のモジュールに加えて、自社製アンテナを搭載した顧客ニーズにマッチしたモジュール等、幅広いニーズに対応した商品を開発してきました。特に最近では、Bluetooth®、無線LANなどの異なる通信規格を同一モジュールにて実現するコンビネーションモジュールの開発、商品化に注力しています。 さらに、さまざまな機器がネットワークにつながるようになったことを背景に、ソフトウェアまでサポートするモジュールの開発と商品化を行い、デジタル民生機器やヘルスケア分野等の新たな通信市場に向けて提案を行います。

その他電子部品

通信デバイス*

近年成長著しいスマートフォン向けのキーデバイスとして、SAW技術をコアとした商品の開発を行っています。既に世界標準となった第3世代(UMTS)はもちろん、次世代通信のメインであるLTE方式に対しても、小型で低消費電力のフィルタデバイスや整合回路を付加したフロントエンドモジュールなどを提案しています。さらに、より高機能なデバイスを目指してFBAR技術を駆使した商品の開発にも注力し、今後ますます複雑化する通信市場に向けて最適な高周波デバイスを提案していきます。

*2013年3月期から、「複合デバイス」に区分変更となりました。

記録製品その他事業

記録製品

記録メディア

記録型ブルーレイディスクBD-R LTH(6倍速)の量産化を完了し、出荷を開始しました。今後は、長期保存(アーカイブ)用途向けの光ディスクの市場要求が高まってきていることを踏まえて、CD-R、DVD-R、BD-Rの各フォーマットで高品位商品の開発を進めていきます。

グリーン商品の開発

太陽誘電グループは、環境負荷低減に貢献することができる電子部品を「グリーン商品」と位置づけ、安定供給を目指しています。設計から生産、販売、最終商品への搭載・廃棄にいたるまで、あらゆるプロセスでの「ムダ・ムラ・ムリ」を省き、お客様、地域社会、従業員にとって価値ある商品をつくることに取り組んでいます。

労働安全衛生、品質、環境などのマネジメントシステムを活用し、ムダ・ムラ・ムリを排除した「グリーンプロセス」。そして、使用や廃棄を考慮して環境負荷を低減した「グリーンプロダクト」。太陽誘電グループは、これら「グリーンプロセス」、「グリーンプロダクト」に取り組むことにより、グリーン商品の開発に努めています。

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