新中期経営計画新中期経営計画 2013年3月期-2015年3月期

太陽誘電グループは、2013年3月期から2015年3月期までの3年間を対象とする新中期経営計画を策定しました。
これまではエレクトロニクス市場の動向や為替環境等により、収益が大きく変動していました。
本計画では、そのような外部環境に左右されない強い体質を作り上げることで、継続的な成長を目指してまいります。

  • 前中期経営計画(2010年3月期~2012年3月期)の総括
  • 新中期経営計画(2013年3月期~2015年3月期)の概要
  • 計画達成に向けての戦略
  • 株主還元方針

前中期経営計画(2010年3月期~2012年3月期)の総括

前計画は「変革と挑戦!」のスローガンのもと、売上高2,300億円、営業利益200億円のターゲットを掲げましたが、最終年度である2012年3月期は売上高1,837億円、営業損失80億円となり、目標を達成することができませんでした。

営業利益マイナスの大きな要因としては、円高、単価の下落、記録製品事業の不振の他、東日本大震災やタイの洪水という自然災害の影響が挙げられます。生産性の改善などあらゆる手を打ちましたが、景気低迷による需給バランスの崩れなどもあり、非常に厳しい経営環境でした。

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新中期経営計画(2013年3月期~2015年3月期)の概要

新しい計画では、2015年3月期に売上高2,500億円、営業利益200億円、ROE8%を目指すとともに、ネットキャッシュを2016年3月期にはプラスにすることが大きな目標です。売上ではなく、利益優先の企業を目指しています。

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計画達成に向けての戦略

1)構造改革を2012年3月期から先行して実行中

  • 海外拠点の効率活用
  • 不採算商品からの撤退
  • 拠点再編と人員削減

各拠点を最大限、効率良く活用します。コンデンサやインダクタの海外生産移管を進め、スーパーハイエンド商品の前工程は日本で、それ以外のものは原則としてハイエンドといえども海外で作るという計画です。主に韓国、中国、フィリピン、マレーシアの各工場への移管を進めています。

今後も黒字化が見込めず将来性や競争力に欠ける不採算商品を2013年3月期中に整理します。採算がとれることを前提として商品ポートフォリオの再構築を行い、2014年3月期の事業計画において赤字商品として継続するものをなくします。

生産子会社や営業所の再編を行うとともに、国内を中心に正社員・派遣社員・請負社員の人員削減を行っています。グループ全体での最終的な人員削減は1,000人程度になると考えています。これらの取り組みは計画通りに進捗しています。

2)営業展開の強化

これまでの営業活動との違いは、「売上高」だけを伸ばすのではなく、「利益」を創出することに力点を置いていることです。利益を伸ばすための営業活動をいかにして行うか、がポイントになります。

そこで、高度な技術知識を持つ営業スタッフであるFAE(Field Application Engineer)を増員し、お客様への技術的提案・ソリューション提案の機会を増やしていきます。日本国内も含めてグローバルで拠点を再編したり、FAEを増員して各地に配置したりすることにより、今までよりも開発・生産・販売の連携が密になり、協業体制が強化されることを狙っています。

注力する市場は、大きくわけて2つあります。まずは今までも重視してきた「情報通信市場」で、スマートフォンやタブレットPCに代表される成長機器向けです。これに加えて、新たに「産業機器」「自動車」「ヘルスケア」「環境エネルギー」の市場を重要視していきます。

これら新市場向け事業を担当する新しい組織を、2012年4月に新設し、活動を開始しました。太陽誘電が持つ豊富な商品ラインナップやこれまで蓄積してきたノウハウに加え、M&Aやアライアンスを活用して、今まで以上に積極的に攻めていきます。これら新市場に向けた事業が今後太陽誘電の大きな柱になると期待しています。

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3)製品別の成長戦略

コンデンサやインダクタに加えて複合デバイス事業を大きな柱として育て、バランスのとれた事業構造の構築を目指します。

  • コンデンサ
  • インダクタ
  • 複合デバイス

小型大容量積層セラミックコンデンサにおいて、スーパーハイエンドゾーンのシェア50%以上を目指します。また、高品質の商品が求められる自動車、産業機器、ヘルスケア市場へ積極的に展開していきます。国内外の生産拠点をフル活用して効率良く生産・供給する体制を整えるとともに、技術志向で成長ゾーンに投資を集中していきます。

太陽誘電の積層セラミックコンデンサは業界最先端を走り続け、エレクトロニクス機器の成長・発展を支えています。太陽誘電はコンデンサの材料となるチタン酸バリウムから開発・生産することにより、材料レベルから小型大容量化に向けての進化を日々続けています。超小型品、大容量品をはじめ、低ESL品、高周波用途品、高電圧向け品など、幅広いラインナップでお客様のニーズにお応えします。

スーパーハイエンドのメタル系パワーインダクタ「MCOIL®」のラインナップを強化します。「MCOIL®」は自社開発したメタル系の新材料を使用することで、小型・低背でありながら大電流化にも対応する高効率なインダクタで、市場ニーズにマッチした商品です。
また、小型でHigh-Q*を実現した高周波用積層チップインダクタの新商品を投入し、高周波域で求められる高いQ値を武器に、シェア拡大を目指します。

*High-Q:Q値が高いこと。一般に、インダクタはQ値が高いほどロスが少なく理想的な特性を持つと言われている。

スマートフォンやPCなどのデジタル製品の進化はとどまることを知らず、その中で使用されるインダクタの小型化、薄型化、高性能化へのニーズも同様に高まり続けています。 太陽誘電は、多岐に渡るお客様からのご要望にお応えするため、無駄なスペースの排除による徹底的なダウンサイジングを行い、幅広い回路設計に対応可能な巻線タイプ、高い積層技術と要素技術を活用した積層タイプなど、緻密・厳密に管理された生産プロセスの下、パワー用途から高周波用途まで、様々なタイプのインダクタを開発・生産しています。

太陽誘電の強みの一つは、素材の開発から始めて電子部品を作り上げることですが、このことは、自社開発した単品部品を用いて最適な複合デバイスをご提案できるという強みにつながっています。SAW(Surface Acoustic Wave)およびFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)技術を駆使した付加価値の高いスーパーハイエンド商品を積極的に販売していくとともに、部品内蔵配線板「EOMIN®」*と融合させた商品の開発も行ってまいります。

*部品内蔵配線板「EOMIN®」については、「研究開発活動」で詳しく説明しています。

従来のモジュールに加え、SAW/FBARデバイスも含めた事業構造に変革。SAW/FBAR技術を核とした高周波事業展開、当社グループオリジナル技術から生まれた部品内蔵配線板「EOMIN®」を用いたスーパーハイエンド商品の積極的な市場投入を行っています。
また、市場からの省エネに対する強い要求に応え、低消費電力化を目指した電源技術の構築を進めるとともに、照明機器やテレビ用バックライト等のLED化に対応する技術構築を進め、多数の差別化商品を投入しています。

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株主還元方針

太陽誘電グループは、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけています。しかしながら、現在は安定的かつ持続的な収益体質の構築、ならびに財務体質の改善が必要な段階と認識しています。2012年3月期は財務体質の悪化により1株あたりの配当を年間5円に減配しましたが、基本的には年間10円の安定した配当を行っていく方針です。新中期経営計画の達成時には、配当や自社株買いを含めた総還元性向を30%とすることを目標にしており、株主の皆様に対しても「信頼され、感動を与えるエクセレントカンパニー」となることを具現化していきたいと考えています。株主、投資家の皆様におかれましては、末長いご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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