セラミックコンデンサ

Q&Aコーナー

種類

コンデンサにはどんな種類がありますか?

一般的な家電製品に使用される主なコンデンサの種類は、下表となります。

種類 特徴 用途
アルミ電解コンデンサ 静電容量が大きいですが、ESR, ESLの周波数特性は良好ではありません。このため、IC直近での電源ラインやデカップリング用途には不向きです。極性があり、逆電圧や過電圧をかけると液漏れや破裂をするので、使用に注意が必要です。 電源回路の平滑用、バックアップ用
タンタル電解コンデンサ アルミ電解コンデンサと特徴は似ていますが、アルミ電解コンデンサより小型で、ESR, ESLの周波数特性が改善されています。但し、セラミックコンデンサの特性にはおよびません。極性があり、逆電圧や過電圧により発煙や発火を引き起こします。 電源回路の平滑用、バイパス用
フィルムコンデンサ 静電容量は大きくありませんが、温度や電圧といった環境因子によって静電容量が変化せず、常に一定の特性を得ることができます。 アナログ回路用
積層セラミックコンデンサ 静電容量が 0.5pF~100uF 程度のものまであります。ESR, ESLの周波数特性がよく、適切な定数の選定により、アナログ信号を歪ませずに通過させることもできます。静電容量が大きい高誘電率系と呼ばれるものは、電圧や温度による容量変化が大きいので、実容量が要求される回路に使用する場合は注意が必要です。安価でサイズも小さいので、小型機器にも大量に実装できます。 アナログ、デジタル、電源回路用
セラミックコンデンサにはどんな種類がありますか?

セラミックコンデンサには、様々な種類があります。
当社PDF製品情報では、以下の種類のセラミックコンデンサをご紹介しております。

商品名 容量範囲 説明
積層セラミックコンデンサ
(高誘電率系)
100pF~470uF 主に電源周り向けの商品カテゴリーです。
電源バックアップや平滑用に最適です。
積層セラミックコンデンサ
(温度補償用)
0.2pF~1000pF 温度や電圧による容量変化が小さいため、フィルタ用途など一定容量を要求される回路に適した商品です。
高周波積層セラミックコンデンサ 0.2pF~22pF 容量が小さく、共振周波数が高いため、高周波領域での使用に適しています。
また、電気損失が少ないため、マッチング回路などに最適です。
超低歪積層セラミックコンデンサ 390pF~0.1uF 電気的、機械的な強度に優れており、耐熱性も高い商品です。
ショックノイズや電気歪みも小さいので、PLL, 発信回路などに適しています。
低歪大容量積層セラミックコンデンサ
(CF_LD)
0.22uF~10uF 電気歪みを抑えながらも大容量を実現した商品です。音鳴き対策に有効です。
中高耐圧積層セラミックコンデンサ 8pF~4.7uF 定格電圧が高く、高電圧ライン向けの商品です。
LW逆転形状積層セラミックコンデンサ
(LWDC™)
0.1uF~22uF ESR, ESLが低く、リップルや高周波ノイズの除去に優れているため、デカップリングなどの用途に最適です。また、容量もあるので平滑用としても使用できます。
車載(ボディ系・情報系)用途
積層セラミックコンデンサ
(高誘電率系)
220pF~47uF 各種商品の信頼性を高めた、ボディ系機器や情報系機器などの自動車用電子機器にも使用できる信頼性スペックの商品です。
車載(ボディ系・情報系)用途
積層セラミックコンデンサ
(温度補償用)
0.2pF~1000pF
車載(ボディ系・情報系)用途
中高耐圧積層セラミックコンデンサ
220pF~4.7uF
車載(ボディ系・情報系)用途
LW逆転形状積層セラミックコンデンサ
(LWDC™)
0.1uF~22uF
車載(ボディ系・情報系)用途
高周波中高耐圧積層
セラミックコンデンサ
0.2pF~100pF 積層磁器コンデンサとしては高いQ値が高周波で得られます。
高定格電圧でありながら小型形状です。
車載(ボディ系・情報系)用途
樹脂外部電極品積層
セラミックコンデンサ
1000pF~47uF 樹脂外部電極により、基板からの振動、応力、熱衝撃を吸収し、クラック発生の抑制を意図した商品です。
車載(制御系・安全系)用途
積層セラミックコンデンサ
1000pF~10uF 特に信頼性が要求される、制御系機器や安全系機器などの自動車用電子機器向けに開発された商品です。
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
積層セラミックコンデンサ
(高誘電率系)
220pF~220uF 各種商品の信頼性を高めた、通信インフラ・産業機器/医療機器にも使用できる信頼性スペックの商品です。
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
積層セラミックコンデンサ
(温度補償用)
0.2pF~1000pF
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
中高耐圧積層セラミックコンデンサ
220pF~4.7uF
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
LW逆転形状積層セラミックコンデンサ
(LWDC™)
0.1uF~22uF
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
高周波中高耐圧積層
セラミックコンデンサ
0.2pF~100pF
通信インフラ・産業機器/医療機器用途
樹脂外部電極品積層
セラミックコンデンサ
1000pF~47uF
  • 容量範囲は2019年11月現在のデータ

これらの商品の特徴や用途は、製品の仕様や特性が検索できるTY-COMPASに掲載されています。ぜひ、ご活用ください。
また、個別製品の一覧表は PDF製品情報にまとめられておりますので、こちらの方もご活用ください。

PDF製品情報外品につきましては、別途お問い合わせください。

セラミックコンデンサの製品ラインアップを紹介してください。

当社セラミックコンデンサの製品ラインアップはTY-COMPASで確認することができます。

品番の読み方を教えてください。

特性

コンデンサの静電容量とは何ですか?

静電容量はコンデンサの蓄電能力を表した物理量で、F(ファラド)という単位で表します。

セラミックコンデンサが使用される範囲では、F という単位は大きすぎるため、μF(マイクロファラド、ファラドの100万分の1)、pF(ピコファラド、ファラドの1兆分の1)という単位がよく用いられます。人や使用される箇所、状況によって基準は異なりますが、セラミックコンデンサではおおよそ1μF以上では大容量、1000pFを下回ると小容量と区分けされます。

コンデンサのインピーダンスの周波数特性とは何ですか?
コンデンサのESR,ESLとは何ですか?

コンデンサのインピーダンスは、静電容量や周波数によって変化します。理想的なコンデンサでは、静電容量が大きければ大きいほどインピーダンスは低くなり、周波数が高ければ高いほどインピーダンスが低くなります。

実際のコンデンサには、抵抗やインダクタンスの成分が存在します。その特性は簡易的に、C, R, L の直列等価回路モデルで表現することができ、この R のことを等価直列抵抗(ESR)、L のことを等価直列インダクタンス(ESL)と呼びます。

ESLは静電容量とは逆に、周波数が高くなるとインピーダンスが高くなります。そのため、ある周波数を境に ESLの影響を受け、周波数の増加に対してインピーダンスが上がります。この転換点の周波数を共振周波数と言います。共振周波数では、静電容量とESLがお互いのインピーダンスを打ち消しあい、ESRだけがインピーダンスとして残ります。

このように、コンデンサのインピーダンスは周波数に依存し、周波数特性をもちます。

ESR, ESLは共にコンデンサの性能を落とす要因で、一般的にはその値が低いほうが性能がいいコンデンサといえます。具体的には、ESRの値が高いと発熱やIC動作時の電圧の低下、ESLの値が高いと波形のリンギング(乱れ)などといった悪影響があります。実際のコンデンサでは、ESR, ESL も周波数によって変わりますので、注目する周波数帯の ESR, ESLを把握することが重要です。もっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

一般的に積層セラミックコンデンサはコンデンサの中でも優れた ESR, ESL特性をもっておりますが、当社では一般のセラミックコンデンサよりさらに低ESLを実現したLW逆転タイプ積層セラミックコンデンサ(LWDC™) をご用意しております。ぜひ、ご活用ください。

セラミックコンデンサの静電容量は電圧によって変化しますか?
コンデンサの静電容量の電圧特性/バイアス特性とは何ですか?

高誘電率系のセラミックコンデンサは、電圧をかけると静電容量が変化します。印加電圧による静電容量の変化のことを、静電容量の電圧特性、またはバイアス特性といいます。
これは、セラミックコンデンサに使用されている材料によるものであり、当社以外のセラミックコンデンサでも一般的に起こる現象です。
なお、積層セラミックコンデンサ(温度補償用)、高周波積層セラミックコンデンサなど温度補償用の製品では、使用されている材料が高誘電率系と異なるため、静電容量の変化はほとんど起こりません。

以下に、当社製品 LMK212BJ105KD-T に直流電圧をかけたときの静電容量変化率を示します。

いずれの場合でも、実際の回路の印加電圧で所望の静電容量を得られるように、電圧特性を参照し適切なものを選定することが重要です。
個別製品の電圧特性については、製品の仕様や特性を検索できるTY-COMPASをご活用ください。

セラミックコンデンサの静電容量は温度によって変化しますか?
コンデンサの静電容量の温度特性とは何ですか?

セラミックコンデンサは、周囲の温度により静電容量が変化します。温度による静電容量の変化のことを、静電容量の温度特性といいます。これは、セラミックコンデンサに使用されている材料によるものであり、当社以外のセラミックコンデンサでも一般的に起こる現象です。

以下に、当社製品 LMK212BJ105KD-T の温度に対する静電容量変化率を示します。

LMK212BJ105KD-Tの温度による静電容量变化率

セラミックコンデンサの温度特性は、日本工業規格(JIS)とアメリカ電子工業会(EIA)によって定められた基準が広く使用されています。セラミックコンデンサメーカーは当社を含め、個別製品にJISとEIAの両方、またはいずれかの温度特性記号を規定しており、これにより製品の使用温度範囲、使用温度範囲内での静電容量の温度係数、または静電容量変化率がわかるようになっています。主なJIS,EIAの温度特性記号と使用温度範囲、温度係数、静電容量変化率の対応は以下のようになっています。

CLASS1(温度補償用)

温度特性記号 温度係数
[ppm/℃]
使用温度範囲
[℃]
JIS EIA
CG C0G -55~+125 0±30
CH C0H 0±60
CJ C0J 0±120
CK C0K 0±250
UJ U2J -750±120
UK U2K -750±250
SL -1000~+350

CLASS2(高誘電率系)

温度特性記号 温度係数
[ppm/℃]
静電容量変化率
[%]
JIS EIA
B -25~+85 ±10
X5R -55~+85 ±15
X6S -55~+105 ±22
X7R -55~+125 ±15
X7S -55~+125 ±22
X7T -55~+125 +22/-33
F -25~+85 +30/-80
Y5V -30~+85 +22/-82
  • 基準温度は JIS では 20℃、EIA では 25℃ となっています。

なお、温度係数と静電容量変化率は、使用温度 T での静電容量 CTと基準温度 T0での静電容量CT0から以下のように求められ、この値が使用温度範囲内で上の表の範囲内に入っていなければなりません。

温度係数=Ст-Сто/Сто(T-To)×10⁶ [ppm/°C]
静電容量変化率=Ст-Сто/Сто×100 [%]

個別製品の温度特性については、製品の仕様や特性を検索できるTY-COMPASをご活用ください。

コンデンサはなぜ発熱するのでしょうか?

コンデンサには電極や誘電体に寄生する抵抗成分が存在し、リップル電流のような交流電流がコンデンサを通過する際に、抵抗成分により熱が発生します。
発熱を抑えるためには、ESRが低いコンデンサを選択することが重要です。セラミックコンデンサはコンデンサの中でもESRが低く、発熱抑制に最適です。

当社セラミックコンデンサのESR特性については、TY-COMPASで確認することができます。

セラミックコンデンサの特性データを知りたいのですが。

個別製品の検索、および仕様と各種特性グラフを表示するWebツールTY-COMPASをご用意しております。ご活用ください。

セラミックコンデンサの積層数が変わるとESR,ESLも変わりますか?

変わります。セラミックコンデンサの断面は下図のようになっており、等価回路に置き換えると内部電極の抵抗やインダクタンスが並列に接続する構造となっています。

このため、積層数が増えると並列に接続する抵抗やインダクタンスが増加し、ESR,ESLは小さくなります。

一般的に部品サイズが大きいと内部電極が長くなり、電極あたりの抵抗やインダクタンスが大きくなります。積層数は多くてもサイズが大きい場合は、積層数が少なく小さいサイズの部品よりESR,ESLが大きいことがあります。

個別製品のESR,ESL特性については、製品の仕様や特性を検索できるTY-COMPASをご活用ください。

回路

セラミックコンデンサは回路上でどのような働きをしますか?

セラミックコンデンサの回路上での主な役割は、カップリング、デカップリング、平滑化、フィルタになります。

1.カップリング

DC成分を除去し、AC成分のみを通過させます。

2.デカップリング

不要なノイズ成分を除去します。

3.平滑化

電源回路で整流後の電圧をならして、直流の状態に近づけます。

4.フィルタ

コイルや抵抗と組み合わせて使用し、不要な周波数帯の信号の除去、必要な周波数帯の信号の取得を行います。

リップル電流とは何ですか?

コンデンサにおけるリップル電流は、主に電源回路でICへの負荷電流が変動することにより、コンデンサに流れる電流のことを指します。

このとき、コンデンサにはESRと呼ばれる抵抗成分があるため、リップル電流によりコンデンサが発熱します。アルミ電解コンデンサなどでは、発熱による温度上昇がある値(メーカーにより異なる)に達する電流値をコンデンサに流すことができる最大電流値として規定しています。これを許容リップル電流といいます。

セラミックコンデンサには許容リップル電流の規定はありませんが、セラミックコンデンサは一般的にアルミ電解コンデンサなどよりESRの特性が良いため、同じ電流値でも発熱が抑えられる傾向にあります。当社製品を使用する際は、自己発熱と周囲温度を含めて使用温度範囲内に収まるようにしてください。

当社では、個別製品のリップル電流に対する自己発熱の目安をTY-COMPASに記載しておりますので、ご活用ください。

セラミックコンデンサを実際の回路でどのように使えばよいか教えてください。

当社のホームページにコンデンサの技術情報として基礎知識を掲載しております。
回路の働きについては、基礎知識に掲載しておりますので、こちらをご参照ください。

セラミックコンデンサを実際に回路で使用したときに公称容量と同じ静電容量にならないのは何故でしょうか?

セラミックコンデンサは温度、電圧、周波数、経時変化などの要因により、静電容量が変化します。公称容量はPDF製品情報記載の条件下で測定されたものであり、実際の使用環境における静電容量と必ずしも一致しません。当社セラミックコンデンサの温度、電圧、周波数による静電容量の変化については、TY-COMPASで確認することができます。

セラミックコンデンサを直列に接続して使用していいですか?

直列接続での使用自体は可能です。但し、容量ばらつきや電圧、温度などによる容量変化により個々のコンデンサに偏った負荷電圧がかかることが想定されます。そのため、個々のコンデンサの定格電圧はライン電圧を上回るものをご使用ください。

測定

セラミックコンデンサの静電容量はどのように測定するのですか?

セラミックコンデンサの静電容量は、LCRメータ(測定原理は下記参照)、インピーダンスアナライザなどの測定器を使用して測ります。

当社では、セラミックコンデンサの公称容量を以下の条件で測定しています。
(測定条件はPDF製品情報の信頼性欄にも記載しております。PDF製品情報はこちら。)

温度商用 高誘電率系
一般用 高周波用 C ≦ 10uF C > 10uF
前処理 なし 熱処理 (150℃ 1hr)(※2)
測定周波数 1MHz±10% 1kHz±10% 120±10Hz
測定電圧(※1) 0.5 ~ 5Vrms 1±0.2Vrms 0.5±0.1Vrms
バイアス印加 なし
  • ※1
    代表的な仕様を記載しています。詳細は個別の仕様書をご確認ください。
  • ※2
    熱処理: 試料を 150+0/-10℃ に1時間放置し、標準状態に 24±2時間放置した後、測定する。

周波数、温度、電圧などの測定条件により、静電容量が変化しますのでご注意ください。

個別商品の測定器や測定条件については、納入仕様書に記載されていますので、仕様書をご確認ください。
データシート記載の特性取得に関する測定器、測定条件についてはこちらをご覧ください。

LCRの測定原理

多くの測定器メーカーのLCRメータでは、図のような自動平衡ブリッジ法と呼ばれる測定法が採用されており、被測定物と既知抵抗Rに流れる電流が同一で、A点での電位が0になるように自動調整されます。このときの被測定物と既知抵抗Rにかかる二つの電圧値から、LCRメータは被測定物の複素インピーダンスを計測値として算出します。セラミックコンデンサの静電容量は、この複素インピーダンスのリアクタンス成分から算出されます。

詳しい測定原理につきましては、測定器メーカー様のサイトをご参照ください。

セラミックコンデンサの特性データ取得に使用される測定器、測定条件を教えてください。

以下をご参照ください。

測定器
  • Keysight Technologies 社製 LCRメータ HP4284A、またはE4980A
測定治具
  • Keysight Technologies 社製 16034A,16034E,16034G,16034H (<DC50V)、16065A(≧DC50V)
直流電源
  • LCRメータ内蔵電源(35V以下の耐圧品)
  • 高砂製作所社製
    • GP0650-05R(50~100V耐圧品)
    • HV1.5-1(250~630V耐圧品)
測定周波数
  • 温度補償用
    • 1MHz±10% (C≦1000pF)
    • 1kHz±10% (C>1000pF)
  • 高誘電率系
    • 1kHz±10% (C≦10uF)
    • 120Hz±10Hz (C>10uF)
測定周波数 25±2℃
測定器
  • Keysight Technologies 社製 LCRメータ HP4284A、またはE4980A
恒温槽
  • ESPEC社製 HC-360
測定周波数
  • 温度補償用
    • 1MHz±10% (C≦1000pF)
    • 1kHz±10% (C>1000pF)
  • 高誘電率系
    • 1kHz±10% (C≦10uF)
    • 120Hz±10Hz (C>10uF)
高周波発生電源
  • エヌエフ回路設計ブロック社製 WF1947
バイポーラ電源
  • エヌエフ回路設計ブロック社製 HSA4014
放射温度計
  • KEYENCE社製 IT2-50
測定周波数
  • 10kHz, 100kHz, 1MHz
周囲温度
  • 25±2℃
測定図

上記の測定システムで各測定周波数で製品温度を測定しながら電流を上げていき、温度上昇が20℃になるまでリップル電流と製品温度上昇を測定していきます。

4.周波数特性(インピーダンス、容量)

こちらをご覧ください。

 // これ
測定した静電容量が公称容量と異なるのは何故でしょうか?

セラミックコンデンサは温度、電圧、周波数、経時変化などの要因により、静電容量が変化します。公称容量はPDF製品情報記載の条件下で測定されたものであり、異なる条件で測定した場合、両者の静電容量は必ずしも一致しません。当社セラミックコンデンサの温度、電圧、周波数による静電容量の変化については、TY-COMPASで確認することができます。

また、測定の際には使用する冶具の特性も同時に測定しますので、正確な静電容量を測定するためには測定冶具の影響を補正する必要があります。補正方法は測定器メーカーのマニュアルをご参照ください。

品質

セラミックコンデンサの構造、材料を教えてください。

セラミックコンデンサの構造・材料については、こちらを参照ください。

積層セラミックコンデンサの製造工程を教えてください。

製造工程については、こちらを参照ください。

セラミックコンデンサの静電容量の経時変化(エージング)とは何ですか?

高誘電率系のセラミックコンデンサは、時間の経過とともに静電容量が低下します。この現象を経時変化(エージング)といいます。経時変化は、セラミックコンデンサを構成する物質が電気的により安定な構造をとろうとして、徐々に構造を変化することにより起こるものであり、当社以外のセラミックコンデンサでも一般的に見られる現象です。低下した静電容量は、熱処理を行うと元に戻ります。

なお、積層セラミックコンデンサ(温度補償用)、高周波積層セラミックコンデンサなど温度補償用の製品では、使用されている材料が高誘電率系のものと異なるため、経時変化は起こりません。

セラミックコンデンサの信頼性試験にはどのような項目がありますか?

当社で行っているセラミックコンデンサの信頼性試験には、以下の項目があります。

信頼性項目 説明
使用温度範囲 使用可能な温度範囲
保存温度範囲 保存可能な温度範囲
定格電圧 使用可能な電圧上限
耐電圧(端子間) 規定内の過電圧印加による絶縁破壊や破損がないこと
絶縁抵抗 規定の抵抗値を下回らないこと
静電容量(許容差) 常温における静電容量が規定内に収まること
Q または 誘電正接 (tan δ) 常温における Q の下限、または tan δの上限
静電容量温度特性 使用温度範囲において静電容量値の温度変化が規定値以内に収まっていること
耐基板まげ性 規定の基板の歪により、本体の外観に異常がなく、静電容量が規定以上に変化しないこと
端子電極固着力 規定内の物理的外圧により、端子電極の剥離やその徴候がないこと
抗折強度 規定内の物理的外圧により、本体の破損や損傷がないこと
はんだ付け性 はんだ付けの際に端子電極にはんだが付くこと
はんだ耐熱性 はんだ付けにおける高温にさらされた後に、外観に異常がなく、各種電気特性に規定以上の変化がないこと
温度サイクル 使用温度範囲の上限と下限の温度環境下に交互に規定回数さらされた後に、外観に異常がなく、各種電気特性に規定以上の変化がないこと
耐湿性(定常状態) 高湿度環境に設置(規定時間)した際に、外観に異常がなく、各種電気特性に規定以上の変化がないこと
耐湿負荷 高湿度環境において電圧負荷を加えた場合に、外観に異常がなく、各種電気特性に規定以上の変化がないこと
高温負荷 使用最高温度において電圧負荷を加えた場合に、外観に異常がなく、各種電気特性に規定以上の変化がないこと

各項目の詳細は、PDF製品情報をご覧ください。

なお、個別製品の信頼性につきましては、納入仕様書で必ずご確認ください。

セラミックコンデンサの信頼性試験のデータはありますか?

セラミックコンデンサの信頼性試験データについては、こちらよりお問い合わせください。

セラミックコンデンサの定格電圧を超えて使用しても大丈夫でしょうか?

当社では定格電圧の2.5~3倍(定格電圧100V未満)、または1.2~2.5倍(定格電圧100V以上)の電圧で耐電圧試験を行っています。その範囲内で定格電圧超えた場合に瞬時に破損することはありませんが、定格電圧を超えて使用すると信頼性を低下させます。詳細に関しましては、以下の使用上の注意をご参照ください。

積層品

使用電圧(定格電圧の確認)
  • 1.
    コンデンサに印加される電圧は、定格電圧以下で使用して下さい。
    また、直流電圧に交流電圧が重畳されている電圧の場合は、尖頭電圧の和が定格電圧以下となるようにして下さい。
    交流、又はパルスの電圧の場合は、尖頭電圧の和が定格電圧以下となるようにしてください。
  • 2.
    定格電圧以下でも、高周波の交流電圧や非常に立上りの早いパルス電圧で使用する場合は、コンデンサの信頼性が低下する場合があります。

また、定格電圧を超えて使用した際の保証は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。

セラミックコンデンサの使用温度範囲を超えて使用しても大丈夫でしょうか?

使用温度範囲を超えて使用すると信頼性が低下する他、温度特性の範囲内に静電容量が収まらないなど、規定外の特性変化を招きますので、使用温度範囲を超えてのご使用はお控えください。また、使用温度範囲を超えて使用した際の保証は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。

セラミックコンデンサから音が鳴りました。なぜ音鳴きが発生するのでしょうか?

高誘電率系のセラミックコンデンサは、誘電体に電圧がかかると誘電体が変形する(歪む)という特性があります。このため、可聴域の周波数(20Hz~20kHz)の電圧がセラミックコンデンサにかかるとセラミックコンデンサが振動し、基板にその振動が伝達、増幅されて音鳴きが発生します。

負荷電圧によりMLCCが歪み、交流信号がかかると振動する
MLCCの振動(1)が基盤に伝わり、(2)、音鳴きが発生する

音鳴きの大きさは誘電体材料だけでなく、コンデンサの形状や基板の大きさ、実装状態にもよりますので、レイアウト、部品選定の両面から対策を考えます。詳しくは、当社へお問い合わせください。

当社では音鳴き対策用に低歪大容量積層セラミックコンデンサ(CF_LD)LW逆転形状積層セラミックコンデンサ (LWDC™) などをご用意しております。是非、ご活用ください。

セラミックコンデンサの寿命はどのように推定するのでしょうか?

一般的にコンデンサの寿命 (※1) を考える場合には、印加電圧と周囲温度が大きく影響を与えます。寿命の推定を行う場合は、印加電圧、温度による以下の関係式 (※2) を用いることが一般的です。任意の温度、電圧による加速試験より加速係数を求めたうえ、お客様での電圧、温度条件を入れることにより寿命を推定することができます。(※3)

L₁ =[V₂/V₁]^x2(T₂-T₁)/θxL₂ L₁: フィールドでの寿命・L2:加速試験での寿命・6:温度加速係数・T₁: フィールドでの温度・T₂: 加速試験での温度・n:電圧加速係数・V₁: フィールドでの電圧・V₂: 加速試験での電圧

ここで用いられる温度加速係数(θ)、電圧加速係数(n)は、実験的に求められており、個別製品によって異なります。たとえば、温度加速係数が8, 電圧加速係数が4の製品が20V(V2), 85℃(T2)の加速試験で1000時間(L2)の寿命だったとき、8V(V1), 45℃(T1)の環境下での大よその寿命(L1)は、この式を用いた場合、

[8/20]⁴×2(⁸⁵-⁴⁵)/⁸ × 1000 = 1250000 [時間]≃142.69[年]

と推定されます。

  • ※1
    寿命の判定は、一般的に絶縁抵抗の劣化をもとに行います。
  • ※2
    簡略的な式の為、個別製品の寿命を正確に推定するものではありません。
  • ※3
    この式を用いて算出した個別製品の寿命については保証いたしません。個別製品の具体的な寿命につきましては、こちらまでお問合せください。
MSLとは何でしょうか?

MSL とは、主に半導体などのパッケージに使われる封止樹脂が空気中の水分を吸湿し、リフロー時などに吸湿した水分が気化して体積膨張を起こし破損に至る現象を防ぐことを目的として制定されているJEDECの規格です。規格では、破損のリスクに応じてレベル(Moisture Sensitivity Level)が設けられており、そのレベルに応じて梱包時に乾燥材と同梱し、開封後一定期間を過ぎたものはベーキング処理を施すなどの対策をとる必要があります。
水分吸湿による破損は、主に電子部品に使用されている封止樹脂によるので、封止樹脂が使用されていないセラミックコンデンサは、この規格の対象とはなっておりません。

セラミックコンデンサを使用する際にどんな点に注意すればよろしいでしょうか?
絶縁破壊はどのような条件で起こりますか?

絶縁破壊は絶縁層の誘電体が破壊されてショートに至る現象です。

絶縁破壊が起こる状況として、次の3つの場合が考えられます。

  • 1.
    電圧や温度などを保証範囲外の条件で使用した場合
  • 2.
    機械的なストレスによりクラックが生じた場合
  • 3.
    相当時間使用継続し、性能が劣化した場合

このような状況を防ぐためにも、保証範囲内の条件で使用上の注意を守ってご使用ください。

セラミックコンデンサを貯蔵・保管する際にどのような点に注意すればよろしいでしょうか?

PDF製品情報の使用上の注意に以下のように記載しておりますので、ご参照ください。

注意点

貯蔵・保管
  • 1.
    包装材の品質や外部電極のはんだ付け性を損なわないため、保管場所の温度、湿度の管理は十分に行い、特に湿度については、できるだけ少なくなるようにして下さい。
    • 製品は、周囲温度40℃以下、湿度70%RH 以下で保管できますが、周囲温度30℃以下を推奨致します。また、良好な条件で保管頂きましても時間の経過とともにはんだ付け性は劣化してきますので、弊社出荷6ヶ月以内に御使用下さいますようお願い致します。
    • 大気中に塩素や硫黄などの有害ガスのないところへ保管するようにして下さい。
  • 2.
    高誘電率系の製品は、容量経時変化により静電容量がしだいに小さくなりますので、設計時にはご注意下さい。
    なお、経時変化により静電容量が小さくなっても、熱処理(150℃ 1 時間)を行いますと初期値に復帰します。

管理ポイント

貯蔵・保管
高温高湿環境下では端子電極の酸化によるはんだ付け性の低下や、テーピング、およびパッケージングなどの性能劣化が加速される場合がありますので、極力6ヶ月以内に使用して下さい。なお、期限が過ぎたものは、はんだ付け性を確認の上、使用して下さい。
太陽誘電のセラミックコンデンサは欧州RoHS指令, REACH規則に対応していますか?

当社のPDF製品情報に掲載されているセラミックコンデンサについては、全て2011年に発行されたRoHS新指令(2011/65/EU)、および2007年に施行されたREACH規則(EC 1907/2006)に対応しています。また、米国、中国など主要各国の適用可能な環境法規制への対応も行っています。

当社が直接販売するPDF製品情報掲載製品については、部材購入から生産、販売に至るまで上記規制に遵守できる管理体制をとっています。商社、代理店で取り扱っている当社製品につきましては、商社、代理店までお問合せください。また、個別製品につきましては、販売先(最寄りの営業拠点)へお問合せください。なお、HPのお問合せコーナーへの質問については、機密情報の観点から詳細な回答ができないことをご了承ください。

当社の環境への取り組みにつきましては、こちらをご覧ください。

絶縁抵抗の仕様にあるMΩ・μFの単位の意味を教えてください。

MΩ・µFは絶縁抵抗静電容量を積算したものになります。たとえば、0.1µFの静電容量を持つセラミックコンデンサの絶縁抵抗の仕様が500MΩ・µFとなっていた場合、500MΩ・µF / 0.1µF = 5000MΩ が絶縁抵抗値となります。

ISO認証取得状況を教えてください。

ISO認証取得状況については、こちらを参照ください。

購入したセラミックコンデンサが模倣品かどうか、確認をお願いする事は可能でしょうか。

模倣品については、こちらを参照ください。

セラミックコンデンサの外為法と米国輸出管理規則(EAR)の該非判定結果を教えてください。また、それらの該非判定書をください。

該非判定については、こちらよりお問い合わせください。

実装

積層セラミックコンデンサを実装する前に確認が必要な注意点はありますか?

積層セラミックコンデンサ実装前の注意点については、こちらを参照ください。

はんだ付けの条件、注意点を教えてください。
はんだ付け時のはんだ量(フィレットの大きさ)はどのくらいが適切でしょうか?

各商品シリーズPDF製品情報の使用上の注意欄にはんだ付けの条件をまとめてあります。
ご覧になりたい商品のリンクをクリックしてください。

積層セラミックコンデンサ

積層セラミックコンデンサについてフラックス塗布に関する注意点はありますか?
フローはんだ付けに関する注意点はありますか?

PDF製品情報にフローはんだ付けに関する注意点をまとめてあります。
ご覧になりたい商品のリンクをクリックしてください。

積層セラミックコンデンサ

積層セラミックコンデンサを実装後、基板分割作業の際の注意点はありますか?
推奨ランドを教えてください。

各商品シリーズPDF製品情報の使用上の注意欄に推奨ランド寸法をまとめてあります。
ご覧になりたい商品のリンクをクリックしてください。

積層セラミックコンデンサ

データ

セラミックコンデンサ個別製品のSパラメータ、SPICEモデルをダウンロードできる場所を教えてください。

TY-COMPASで個別製品を検索すると、検索結果リストから対象製品のSパラメータ、SPICEモデルのダウンロードすることができます。

シリーズ一括でご所望の場合は、PDF製品情報/Sパラメータ/SPICEモデルからダウンロードしてください。

セラミックコンデンサのPDF製品情報をダウンロードできる場所を教えてください。

当社ホームページ、設計支援ツール・製品検索コーナーのPDF製品情報/Sパラメータ/SPICEモデルにPDF製品情報をご用意しています。

セラミックコンデンサの特性データシートをダウンロードできる場所を教えてください。

TY-COMPASで個別製品を検索し、検索結果リストから対象製品のリンクをクリックすると製品の個別詳細ページに行きます。
個別詳細ページの製品資料欄から特性データシートをダウンロードできます。

セラミックコンデンサの周波数特性グラフに掲載されていない高周波もしくは低周波領域のデータはありますか?

周波数特性グラフに掲載されていないデータについては、こちらよりお問い合わせください。

その他

セラミックコンデンサに紛争鉱物は含まれていますか?

紛争鉱物については、こちらよりお問い合わせください。

セラミックコンデンサの生産国・生産工場を教えてください。

セラミックコンデンサの生産国・生産工場については、こちらを参照ください。