太陽誘電・JEPLAN:積層セラミックコンデンサPETフィルムをケミカルリサイクルによりPET原料(BHET)に再生

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環境(E)

 太陽誘電株式会社(代表取締役社長執行役員:佐瀬 克也、本社:東京都中央区、以下「太陽誘電」)と株式会社JEPLAN(代表取締役 執行役員社長:髙尾 正樹、以下「JEPLAN」)は、積層セラミックコンデンサ(以下「MLCC」)の製造工程で使用するPETフィルムをケミカルリサイクル(注1)により、PET原料であるBHET(注2)に再生する取り組みを実施します。
 MLCCの製造工程では、誘電体シートを形成する際にPETフィルムを使用しています。本取り組みでは、JEPLANのケミカルリサイクル技術を活用し使用済みPETフィルムを化学的に処理することで不純物を除去し、PET製品に再利用が可能な石油由来と同等品質の高純度なBHETが得られることを確認しました。両社は、ケミカルリサイクルによるPETフィルムを循環する取り組みを2026年より順次導入する予定です。

 MLCCの製造プロセスには、PETフィルム上に誘電体を塗布し、薄く均一な誘電体シートを形成する塗工工程があります。従来、使用済みPETフィルムのリサイクルは、表面に付着した誘電体などの不純物を機械的処理にて除去し、粉砕してペレット状のPET原料に戻すマテリアルリサイクルを実施していました。
このたび、MLCCの製造工程で排出されるPETフィルムをケミカルリサイクルすることで、フィルムに含まれる添加物などの不純物も除去できるため、石油由来と同等品質のBHETへと再生できることが確認できました。このBHETを原料としてPETフィルムをはじめとするさまざまなPET製品に幅広く活用することで、PET原料の資源循環に両社で取り組んでまいります。
 太陽誘電グループは、ESGが経営における機会およびリスクになることを認識し、事業を通じて社会的課題を解決する活動を推進しています。その一環として「中期経営計画 2025」では、経済価値と社会価値を両輪とした企業価値向上を目指すため、ESGへの取り組みに関して数値目標を掲げ、社会価値向上に向けた活動を加速しています。深刻化する資源の枯渇や環境汚染、生物多様性の保全といった地球規模の課題に対応するためには、循環型社会の構築が必要です。太陽誘電グループは「資源の有効活用と循環型社会構築への貢献」をマテリアリティとして設定し、MLCC製造工程においても廃棄物の削減や再資源化に取り組んでいます。本スキームを通じて、より一層資源の有効活用を進め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
 今後も太陽誘電グループは事業活動における資源の持続可能な利用を推進するとともに、すべてのステークホルダーから信頼され感動を与えるエクセレントカンパニーを目指していきます。



■用語解説
(注1) ケミカルリサイクル
PETボトルをはじめとしたプラスチックのリサイクルには、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルなどの手法がある。ケミカルリサイクルは、使用済みのプラスチックなどを化学的に分解して、原料レベルにまで戻し、再び新しい製品の原料として再利用するリサイクル方法。

(注2) BHET(ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート)
PET樹脂の原料モノマー。これを化学合成することでPETを作ることができる。

【太陽誘電株式会社】
 太陽誘電は1950年に創業した電子部品メーカーです。コンデンサを始め、インダクタ、通信用デバイス(FBAR/SAW)などの各種電子部品の研究・開発、生産、販売に取り組み、グローバルに事業を展開しています。
 お客様や社会のニーズに応える商品を提供するため、素材の開発から出発して製品化を行うことを信条としています。これにより、スマートフォンやタブレットなどの電子機器や、IT・エレクトロニクス化が加速する自動車、情報インフラ・産業機器など、幅広い分野で高い評価をいただいています。

【株式会社JEPLAN】https://www.jeplan.co.jp/
 JEPLANグループは「あらゆるものを循環させる」をミッションに掲げ、サーキュラーエコノミーの実現を目指しています。廃PET(ペットボトル、ポリエステル繊維等)を対象に、独自のPETケミカルリサイクル技術を用いて分子レベルに分解し、不純物を除去することで、石油由来と同等品質の再生素材に生まれ変わらせています。この独自技術を用いてリサイクルに取り組むことで、限りある資源の循環を実現し、CO₂の排出量削減にも寄与しています。
 なお、JEPLANグループはペットリファインテクノロジー株式会社(神奈川県川崎市・ペットボトル対象)と北九州響灘工場(福岡県北九州市・ポリエステル繊維対象)の2拠点でPETケミカルリサイクルプラントを運営しており、国内外への技術ライセンス事業も推進しています。

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