監査の状況
2024年6月27日開催の第83期定時株主総会において、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行が決議されましたが、ここでは監査役会設置会社であった2023年度の監査役監査の状況を記載しています。
監査役監査の状況(2023年度)
組織
当社は監査役会設置会社であり、監査役会は、2名の常勤監査役、1名の常勤社外監査役、1名の社外監査役の合計4名で構成されています。監査役には、適切な経験・能力および財務・会計、法務に関する相当程度の知見を有する者を選任し、監査役会構成員の多様性を確保し、監査の実効性を確保しています。
監査役の職務遂行をサポートする組織として監査役室を設置し、適正な能力・知識を有する専任スタッフを配置しています。当該スタッフの人事異動、人事評価、処遇、懲戒処分に関しては監査役と人事部の協議事項とし、監査役の指揮のもと監査業務、監査役室業務を遂行するための権限を付与され、独立性と効率性を確保しています。
監査役会の活動状況
監査役会は、月次で開催される他、必要に応じて臨時で開催されます。2023年度は合計22回開催し、1回あたりの平均所要時間は1時間24分でした。監査役会における決議事項は22件、報告事項は57件、協議事項は18件であり、その主な内容は次のとおりです。
決議事項 | 監査方針および監査計画、監査等委員選任議案に対する同意、会計監査人の再任、会計監査人の監査報酬に対する同意、会計監査人の非保証業務に関する事前了解、監査役会の監査報告書 等 |
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報告事項 | 内部監査計画、J-SOX報告、監査役による子会社監査報告、内部通報に関する報告、法務部門活動報告、取締役会審議報告 等 |
協議事項 | 会計監査人の再任の方向性、KAMの検討、サステナビリティの状況、監査役監査の実効性評価、監査等委員会設置会社移行後の監査体制、監査方針および監査計画の見直し 等 |
監査方針
監査役会において、以下の監査方針を決定しています。
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1.コーポレート・ガバナンスの一翼を担う独立の機関として、法令等遵守重視の予防監査を中心に推進するが、リスク管理、効率性の視点から、妥当性監査にも取り組む。
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2.内部監査部門および内部統制部門、財務経理部門等の社内関連部門並びに会計監査人等と連携し監査効率の向上を図る。
監査項目
監査方針に基づき、監査計画(監査項目、監査役割分担の決定、監査に係る予算の決定、三様監査・いわゆるスリーラインとの連携等を含む)を作成しています。また、期の中間で環境変化に伴う監査計画見直しについて議論し、変更の必要がないことを確認しました。
監査項目は、1.ガバナンスに係る監査、2.内部統制システムの構築と運用状況に係る監査、3.会計監査、4.コンプライアンス、リスクに係るテーマ監査で構成されております。このうち、4.に関しては、監査役会において外部リスク要因および内部リスク要因について、PESTLEの切り口から検討を行ない、重要なリスク項目を重点監査項目として監査計画に盛り込んでいます。今期は次の7項目を重点監査項目として監査を実施しました。
重点監査項目 |
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このうち、サステナビリティについては、監査役全員がサステナビリティ委員会に出席して取り組み状況全般について確認しています。さらに取締役会での報告・審議を踏まえて、監査役会において、その方針・目標設定・取り組み状況・開示内容等が適切であるかについて協議しました。また、監査役会において、サステナビリティ報告要求事項の最新動向について報告を受け、当社の開示対応について担当執行役員らと意見交換を行い、その適切性についても確認しています。
活動状況
常勤監査役は、年間監査計画に基づき、社内およびグループ子会社に対する監査を実施するとともに、重要な社内会議に出席しています。常勤社外監査役は、報酬委員会に出席して意見を述べるとともに常勤監査役としても活動しています。また、監査の専門職としての立場から、監査の動向や会計関係等の情報を提供しています。非常勤監査役は、指名委員会に出席して意見を述べるとともに、社外監査役として客観的な立場から、国内外の工場・子会社等を含むグループ全体について意見陳述や提言を行っています。さらに、法令の専門家としての立場から、法令改正、海外現地法令等に関する情報提供と法令への対応についての助言を行っています。
○は出席、△は一部に出席
活動分野 | 項目 | 常勤監査役 | 常勤社外監査役 | 社外監査役 |
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重要な会議への出席 | 取締役会 | ○ | ○ | ○ |
経営会議 | ○ | ○ | △ | |
内部統制委員会 | ○ | ○ | ○ | |
サステナビリティ委員会 | ○ | ○ | ○ | |
TM会議 | ○ | |||
指名委員会 | △ | ○ | ||
報酬委員会 | ○ | △ | ||
社内取締役との意見交換 | 社長 | ○ | ○ | ○ |
会長、副社長 | ○ | ○ | ○ | |
経営企画本部長 | ○ | ○ | ○ | |
社外取締役との意見交換 | 社外取締役全員(3名) | ○ | ○ | ○ |
子会社に関する活動 | 取締役会出席(子会社監査役を兼任) | ○ | ○ | |
監査(往査・リモート) | ○ | ○ | △ | |
会計監査人との連携 | 監査計画・報酬に係る聴取 | ○ | ○ | ○ |
監査・レビュー結果の検討 | ○ | ○ | ○ | |
品質管理体制の聴取 | ○ | ○ | ○ | |
KAMについての協議 | ○ | ○ | ○ | |
会計監査人の評価・再任検討 | ○ | ○ | ○ | |
三様監査ミーティング | ○ | ○ | ○ | |
内部監査との連携 | 三様監査ミーティング | ○ | ○ | ○ |
監査計画の相互共有 | ○ | ○ | ○ | |
監査結果の相互共有 | ○ | ○ | ○ | |
合同監査 | ○ | |||
潜在リスクの共有 | ○ | ○ | ○ |
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※子会社に関する活動は、常勤監査役の役割分担に基づく
監査役監査の実効性評価
監査役全員で、24の評価項目について有効性を議論しています。評価項目の内訳は、監査役会の体制整備・運用に関するもの7項目、監査役監査の体制整備に関するもの6項目、監査役監査の運用に関するもの10項目、その他1項目です。協議の結果、監査役監査の実効性は十分確保されていると判断しましたが、同時にサステナビリティ監査、監査のDX推進に関する専門知識の高度化を課題と認識し、引き続き知識習得に取り組んで行くことを確認しました。
三様監査
会計監査人、内部監査室と監査役の3者合同での情報交換会等定期的な会合を持ち、各々の監査に役立てています。
内部監査室との連携としては、リスク評価に係る意見交換、監査計画や監査結果の相互報告・意見交換、合同監査等を行っています。
会計監査人との連携としては、リスクおよび監査上の主要な検討事項(KAM)に係る意見交換、会計監査人監査計画に係る聴取、監査結果の聴取、会計監査人の評価と会計監査人への評価結果フィードバックを行っています。
内部監査の状況
内部監査の状況(2023年度)
組織、人員および手続
当社は、社長執行役員直属の組織として内部監査部門(内部監査室)を設置しています。内部監査室の人員は9名で、海外の当社グループ会社出向経験者など多様な業務経験を有する者から成り、CIA(公認内部監査人)、CFE(公認不正検査士)などの専門資格を有する人材を配置しております。
当社の内部監査は、内部監査規程および年次監査計画に基づき本社機能部門および当社グループ会社に対して実施しています。内部監査の実施にあたっては、社長執行役員および監査役からリスク情報を聴取したうえで個別監査実施計画および監査目標を策定し、経営諸活動の遂行状況の事実を公正かつ客観的に評価して、助言や改善提案を報告書として作成しております。内部監査の結果および過去に実施した監査指摘事項のフォローアップ状況については、取締役会に対し、半期に1回の定期報告および年次総括報告を行っております。
上記の内部監査に加え、内部監査室は、「財務報告に係る内部統制の評価および監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価および監査に関する実施基準」に基づき、財務報告に係るシステム・プロセスの整備、運用状況の評価を実施しております。内部監査部門長は、社長執行役員、最高財務責任者および監査役会に対し財務報告に係る内部統制の評価結果を年2回報告しております。さらに、財務報告に係る内部統制の評価結果は、最高財務責任者により取締役会へ報告され、経営者による財務報告に係る内部統制の整備・運用について取締役会による監視・監督を受ける仕組みを整えております。
内部監査、監査役監査および会計監査の相互連携並びにこれらの監査と内部統制部門との関係
内部監査部門長、監査役および会計監査人は、三様監査の連携強化として定期的に情報交換および意見交換等を行い、監査の効率と有効性の向上に努めております。
内部監査部門長は、期初に内部監査の年次監査計画および財務報告に係る内部統制の評価実施計画を監査役会へ報告しております。また、内部監査部門長は、監査役が実施した監査実施報告書を監査役会事務局から入手し、双方が効率的な監査を実施できるよう努めるとともに、必要に応じて監査役との合同監査も行っております。
さらに、内部監査部門長は、会計監査人との定期的な情報交換および意見交換に加え、必要に応じて随時に打ち合わせ、意見交換を実施しています。
当社は、企業価値の保全に留まらず継続的な経済的価値および社会的価値の創造を実現するため、「スリーラインモデル」に基づく全社的リスク管理および内部統制活動を推進しています。内部監査室は、必要に応じて管理部門と情報共有するなどして連携し、企業価値の保全および向上に努めています。
内部監査の実効性を確保するための取組について
内部監査室は客観的なアシュアランスを提供するために業務執行部門から独立し、代表取締役社長執行役員および取締役会の2つの報告経路を保持しております。
さらに、内部監査部門長は、内部監査の結果について監査報告書の作成後速やかに社長執行役員、担当監査役および取締役会へ報告しております。
会計監査の状況
会計監査の状況(2023年度)
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監査法人の名称 有限責任 あずさ監査法人
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継続監査期間 2008年3月期以降
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業務を執行した公認会計士 公認会計士 岩宮 晋伍、公認会計士 新名谷 寛昌
監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士5名、公認会計士試験合格者等4名、その他12名です。
監査法人の選定方針と理由
当社は、会計監査人の選定に際しては、監査役会が策定した選定基準に基づき、会計監査人の概要、監査実施体制、監査報酬等を勘案して決定しております。当社グループは広く海外に事業展開していることから、グローバルな監査体制のほか、監査役会による会計監査人の評価結果も踏まえて判断しております。
また当社は、会社法第340条第1項各号に定める監査役会による会計監査人の解任のほか、会計監査人が職務を適切に遂行することが困難と認められる場合には、監査役会の決定により、会計監査人の解任または不再任に関する議案を株主総会に提案します。
監査役および監査役会による監査法人の評価
監査役会は会計監査人の評価基準を定め、会計監査人の品質管理システム、監査実施体制、監査報酬、監査役等とのコミュニケーション等について毎年評価を行うとともに、当社で定める会計監査人の解任または不再任の決定の方針に該当しないことを確認しております。