対象事業・分析テーマ

「事業活動と環境の関係」ページで示しました環境負荷の2022年度の取組み内容と実績を報告します。
報告対象は、太陽誘電株式会社 (6サイト) および国内・海外の連結子会社を対象としています。
コンプライアンス、監視結果
2022年度のコンプライアンスおよび監視結果を各拠点別に報告します。
GHG、エネルギー
事業活動を通じて排出している温室効果ガス (GHG) には、エネルギー使用による直接排出 (SCOPE1) 、エネルギー使用による間接排出 (SCOPE2) 、エネルギー使用以外の間接排出 (SCOPE3) があります。
GHG排出量は測定できないため、エネルギー使用量の管理および削減に取り組んでいます。
2022年度のGHG排出量は、グループ全体で2021年度から63千t-CO2e減少しました。内訳は、国内拠点が2021年度の195千t-CO2eから168千t-CO2eに減少、海外拠点は2021年度の264千t-CO2eから228千t-CO2eに減少しています (G1参照) 。
エネルギー使用量は、グループ全体で252千kLとなっています (原油換算) 。
今後も引き続き、主力製品を中心に生産工程を見直し、より一層生産効率を向上させ、エネルギー使用量を削減していきます。
また、地球温暖化対策の取組みとして、再生可能エネルギーの導入を進めています。2022年度に使用した再生可能エネルギーは123,212MWhでした。
近年、ステークホルダーからSCOPE1、SCOPE2に加え、SCOPE3の情報開示を求める動きが高まってきています。このような要求に基づき、SCOPE3の把握に努めています。
気候変動への取組み
気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD) の提言に対応し、気候変動問題が社会や事業に与えるリスクや機会についてシナリオ分析を進め、その結果に基づき事業戦略を検討しています。
頻発する風水害など気候変動が社会に及ぼす影響が甚大になる中で、脱炭素社会の実現に向けて企業が果たすべき役割はより重要なものとなっており、気候変動への対応強化を重要な経営課題として捉えています。
地球規模の課題である気候変動について、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すため、脱炭素思想に基づくものづくりを推進する中で、徹底した省エネ・創エネ・再エネを実行していきます。なお、GHG排出絶対量削減はSBTに準じた目標値を設定しています。
SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成への貢献を目指し、幅広いステークホルダーとの協働を通して、これに取り組みます。
また、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFDに賛同するとともに、TCFDに沿った情報開示の拡充を行います。
気候変動を重要な経営課題のひとつとして認識しており、事業活動を通じたサステナビリティ課題への取組みを全社的に推進することを目的とし、2021年度から社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」(年4回) を開催しています。
同委員会ではマテリアリティの設定や課題の共有および課題解決に向けた施策に関する審議を行い、取締役会へ報告しています。
同委員会の下位委員会にあたる環境推進委員会では気候変動問題に対応するための定量目標に対する取組みおよび実績モニタリングが行われ、目標に対して未達成もしくは未達成の可能性が考えられる場合には、その原因と改善に向けた追加施策等 (投資と効果を含めた) を求められ、改善指示が出されます。この環境推進委員会での審議・決定内容は、上位委員会であるサステナビリティ委員会に報告されます。
事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、IEA、IPCCなどの気候変動シナリオを参考にして、事業における気候関連リスク・機会を抽出し、それらの性質を定性的に評価しました。今後は特定したリスク・機会について分析を進めていきます。
財務インパクト 小: 15億円以内 中: 15~60億円 大: 60億円超
抽出・整理した気候関連リスク・機会について、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、「重要度が高い」と評価した次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。
対象範囲は、国内18拠点、海外8拠点です。
ベースライン (現在) 、今世紀半ばおよび今世紀末における物理的影響を評価しています。
気候変動に関するリスクについて、安全環境担当役員である副社長執行役員を責任者として定め、グループマネジメントシステムに従い、コンプライアンス部会とリスク管理部会を通して内部統制委員会にて報告・審議を行っています。気候変動に関するリスクを把握する手法としては、社会状況の分析、顧客やサプライヤーからの聞き取り調査、投資家とのESGに関するエンゲージメント活動などを参考としながら、リスクを抽出しています。それらの項目については、財務的影響や経営戦略との関連を合わせて検討し、インパクト評価を実施しています。
太陽誘電グループでは、自社の事業活動でのGHG排出量について2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すため、2030年度までに2020年度比でGHG排出量を42%削減することを目標としています。目標の達成に向けて再生可能エネルギーの活用や生産効率の向上等を通したGHG排出量削減への取組みを着実に進めていきます。取組みの一環として、2024年度にR&Dセンターの使用電力を100%再生可能エネルギーに転換します。
GHG排出量の推移につきましては、「GHG、エネルギー」をご参照ください。
太陽誘電グループでは、国際環境非営利団体であるCDP※から気候変動対策や戦略、情報開示に優れた企業として、2022年に初めて最高評価のAリストに選定されました。
廃棄物、水資源
生物多様性への影響低減、自然との共生を目指し、
廃棄物および水資源の3R (Reduce、Reuse、Recycle) に取り組んでいます。
2022年度のグループ全体の廃棄物発生量は、2021年度の28.9千tから26.3千tに減少しました (G1参照) 。
廃棄物 (有価物含む) の内訳は、廃プラスチック類、廃油、廃液、汚泥が大部分を占めています (G2参照) 。
国内最終処分量は、2021年度の0.054千tから0.056千tになり、廃棄物リサイクル率は99.5%になりました (G3参照) 。
海外最終処分量は、2021年度の2.3千tから2.0千tに減少しました (G4参照) 。
引き続き廃棄物発生量を削減し、廃棄物の社内リサイクル率を高めるとともに、海外拠点における再資源化を強化していきます。
廃棄物の定義: 一般廃棄物、産業廃棄物、有価物
事業活動で排出した廃棄物は92%がリサイクルされ、社会の中で資源として再利用されていますが、太陽誘電グループの事業活動で再び利用する取組みも推進しています。
事業活動で使用している溶剤で最も使用量の大きいA溶剤は、廃溶剤のリサイクルを行い、再生溶剤が使用量の42%を占めています。
また、電子部品の梱包として使用するリールは、厳しい品質チェックを行い、リユースしたリールを17%使用しています。
2022年度のグループ全体の水使用量は、2021年度の4,027千m3から3,609千m3に減少しました。内訳では、国内拠点が2021年度の1,615千m3から1,400千m3に減少、海外拠点が2021年度の2,412千m3から2,209千m3に減少しています (G5参照) 。
取水量の内訳は、地方自治体の水道 (または他の水道施設から) の取水が3,283千m3、淡水・地下水からの取水が326千m3となっています。
水のリサイクル量は556千m3でした。
環境の取組み
太陽誘電グループでは、地球温暖化防止の取組みのひとつとして、太陽光パネルの設置を進めています。2013年にグループ初となる本郷太陽光発電所を設置した後に他の拠点でも順次設置を進め、現在、国内・海外の8拠点で発電を行っています。
電子部品の生産プロセスの一部では、生産設備の清掃に溶剤を使用しており、清掃に使用した後の溶剤は廃液として適切に処理しています。生産方法を見直し、清掃に使用する溶剤の量を減らすことで、廃液の発生量を削減できました。
削減した廃液の排出量は384t/年でした。
電子部品を生産する工程では様々なプロセスで水を使用しています。設備の冷却水を回収・処理し、生産工程で再利用することで、使用する水を削減できました。
削減した水は11,331t/年でした。
生物多様性の取組み