人権と労働

人権・労働方針

近年、企業は「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、人権デューディリジェンスを行っていくことが求められています。日本においても、2020年10月に政府が「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定しています。

太陽誘電グループは、労働に関する各国の法令順守はもとより「国連世界人権宣言」、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」、「国連グローバル・コンパクト」、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」、「RBA(Responsible Business Alliance)行動規範」などの人権に関わる国際規範を支持し尊重しています。

また、太陽誘電は、2020年5月に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、人権・労働・環境・腐敗防止に関する「国連グローバル・コンパクト10原則」に基づいて行動しています。2020年度よりグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが主催するヒューマンライツデューディリジェンス(HRDD)分科会、SDGs分科会、人権教育分科会などに参加しています。

さらに、第三者評価についても積極的に対応をしており、評価をもとに改善を進める活動を行っています。
太陽誘電グループの主な拠点ではRBA VAP監査を継続的に受審しており、RBA行動規範の順守状況に関する第三者評価を行っています。直近では、太陽誘電モバイルテクノロジー本社、太陽誘電中之条工場が最上位のプラチナ認証(認証期限はそれぞれ2027年2月21日、1月17日)、和歌山太陽誘電、福島太陽誘電、太陽誘電玉村工場がゴールド認証(認証期限はそれぞれ2027年3月19日、2025年7月14日、6月16日)を取得しました。

方針(CSR行動規範)

第11条(労働)
  • 1.
    児童労働、強制労働その他これを援助・助長・推進する行為を行わない。
  • 2.
    労働条件(賃金・労働時間・休暇など)は適切に管理を行う。
第12条(人権尊重、差別、ハラスメント)
  • 1.
    従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、あらゆる差別がない職場環境を確保する。
  • 2.
    組織上の地位を利用した嫌がらせ、性的嫌がらせなどの行為を行わない。
人権・労働の推進体制

人権デューディリジェンスと労働人権マネジメントシステム

太陽誘電グループは、人権方針の策定、人権デューディリジェンスの実施(人権への悪影響の特定・人権に関する悪影響の予防軽減・対応の実効性の追跡調査・情報発信と外部とのコミュニケーション)、救済メカニズムの構築に取り組んでいます。

太陽誘電グループは、人権の尊重および適正な労働を実行するための労働人権マネジメントシステムを整備し運用を行っています。
方針を具体的な行動に移すため「労働人権マネジメント方針および順守事項」を定め、各拠点でPDCA活動を行い継続的改善を図っています。

太陽誘電グループは、「グループ労働人権マネジメントマニュアル」、労働時間については「週60時間制限ならびに連続6日勤務制限に関する管理基準」などを制定し、全拠点において運用(モニタリング)しています。週60時間超、連続6日勤務超の場合は、「不適合・対策報告書」を作成し、再発防止に取り組んでいます。また、人権デューディリジェンス(①人権への悪影響の特定、②人権に関する悪影響の予防・軽減)として、全拠点を対象に、2020年度より定期的(隔年)にRBAをベースとした労働人権セルフアセスメントを行い、人権、労働などに関するリスク評価とフィードバックによる改善・是正活動を行っています。なお、不適合については、是正計画(根本原因・改善対策と予防措置・期日などを含む)を作成し、リスクの低減に取り組んでいます。2024年度は、人権・労働に加えて倫理(調達・法務・知財・広報部門と連携)についてもセルフアセスメントを実施しました。

  • 倫理:パワハラ・セクハラ、知的財産権、賄賂・腐敗、サプライチェーン上の人権問題、救済へアクセスする権利(25の人権リスク類型 日本 法務省より)

太陽誘電グループは、児童労働、強制労働、健康と安全の確保、結社の自由、差別、非人道的な扱い、適正な労働時間、報酬/賃金は重要なテーマ(8つ)として捉えて、労働人権マネジメント方針および順守事項に記載しています。

マネジメントレビュー
太陽誘電グループは、労働人権マネジメントシステムと関連プログラムの確実な実施に責任を持つCSR行動規範11条・12条(労働、人権尊重・差別・ハラスメント)の担当執行役員が、定期的にマネジメントシステムの状況をレビューしています。また、毎年度、実施計画(目的、改善目標、および前年度の実績・評価を含む)を策定し、継続的改善に取り組んでいます。
派遣・構内請負会社などに対する人権や労働の対応
太陽誘電グループ(海外製造拠点含む)は、派遣・構内請負会社様、また警備・食堂・清掃取引先(構内常駐取引先)様などと人権・労働に関する同意書を締結し、監査などの定期的な評価と是正にご協力をいただいております。
2024年度は、同意書締結が130社、監査などでの指摘が131件、是正率100.0%となっております。[2023年度は、同意書締結が146社、監査などでの指摘が86件、是正率100.0%]。
購入先に対する人権や労働の対応

内部監査

2024年度は、国内拠点において、RBAをベース(労働・労働マネジメントシステム)としたリモート内部監査を実施(8拠点)。また、海外製造拠点(中国)においても、現地訪問内部監査を実施。指摘4件はすべて是正済。なお、不適合については、是正計画(根本原因・改善対策と予防措置・期日などを含む)を作成し、リスクの低減に取り組んでいます。
なお、2024年度より適合性に加えて、有効性(リスク管理)向上とグッド・プラクティス共有の取り組みをはじめております。

内部監査の様子

太陽誘電(常州)電子
(FY2024)
韓国慶南太陽誘電
(FY2023)
TAIYO YUDEN (SARAWAK)
(FY2023)
太陽誘電(廣東)
(FY2023)
TAIYO YUDEN (PHILIPPINES)
(FY2023)

過去の指摘内容

  • 派遣構内請負会社、警備・食堂・清掃取引先の是正計画に「根本原因」、「改善対策」、「予防措置」の項目が定められていない
  • 求人情報公開のプロセスが明文化されていない(求人情報公開の手順書がない)
  • 教育計画書に関するニーズ分析が明文化されていない
  • 求人票に年齢の記載がある
  • 給与明細書に関する残業単価が定期的に従業員に周知されていない

内部監査での指摘件数と是正率

指摘件数(件) 是正率 FY2018~FY2023の指摘件数(件)の棒グラフと是正率の折れ線グラフです。指摘件数はFY2018:35件、FY2019:22件、FY2020:26件、FY2021:52件、FY2022:17件、FY2023:33件、FY2024:4件。是正率は毎年100%です。

内部監査での指摘累計

指摘累計(件) FY2018~FY2023の指摘累計(件)の折れ線グラフです。指摘累計件数はFY2018:35件、FY2019:57件、FY2020:83件、FY2021:135件、FY2022:152件、FY2023:185件、FY2024:189件。

教育

太陽誘電グループでは、従業員一人ひとりに人権の尊重・適正な労働に関する理解を深めてもらうため、従業員を対象に児童労働・強制労働、差別や非人道的な扱いの禁止を含む労働人権の教育を定期的に実施しています。

2024年度においても、国内拠点の従業員を対象としたeラーニングによる定期教育(国連グローバル・コンパクト、国連ビジネスと人権に関する指導原則、人権方針、ハラスメントの防止、性的指向などを含む)を実施し、その教育資料(英語版を含む)を全拠点に共有しました。
また、国内拠点の労働人権対応部門の従業員を対象としたeラーニングによる定期専門教育を実施しました。
なお、いずれの教育も内容に関する理解度テストを実施し、効果確認を行っています。

CSR行動規範11条・12条(労働、人権尊重、差別、ハラスメント)
教育対象:国内拠点の従業員

受講者数(名) 受講率 FY2020~FY2024の受講者数(名)の棒グラフと受講率の折れ線グラフです。受講者数はFY2020:4,847名、FY2021:5,110名、FY2022:5,384名、FY2023:5,453名、FY2024:5,652名。受講率はFY2020:92.3%、FY2021:94.1%、FY2022:93.9%、FY2023:93.3%、FY2024:94.5%です。

専門教育(対象:国内拠点の労働人権対応部門の従業員)

受講者数(名) 受講率 FY2020~FY2024の受講者数(名)の棒グラフと受講率の折れ線グラフです。受講者数はFY2020:50名、FY2021:66名、FY2022:71名、FY2023:76名、FY2024:79名。受講率はFY2020:98.0%、FY2021:97.1%、FY2022:95.9%、FY2023:93.8%、FY2024:95.2%です。

差別や非人道的な扱いの禁止

太陽誘電グループは、差別や非人道的な扱いを禁止しています。
従業員の人格・個性を尊重し、国籍、性別、宗教、年齢、性的指向などによる差別を一切行いません。あらゆるハラスメントの発生を防止するため、定期的に教育を行い、従業員のハラスメントに関する理解を深めています。

太陽誘電グループは、障がい者・外国人労働者について、その支援・配慮内容をグループ内で定期的に情報共有しています。また、「人権・労働に関する月次報告書」によるモニタリングを行うなど、差別を減らすための措置を講じています。

支援・配慮の例
  • バリアフリートイレの設置、社内食堂での妊婦や障がい者優先レーンの設置
  • 男女共通のファクトリーユニフォームの採用
  • 日本語教室の開催、ソフトボールチームの試合応援などイベントへの参加呼びかけ、社内表示・掲示物の外国語表示や社内文書への併記

また、太陽誘電グループ(海外製造拠点含む)は、救済手段として、ハラスメントの防止に対して、従業員相談窓口を各拠点に設置し、受入教育(新入社員・中途入社者)・定期教育などで窓口を周知しています。相談窓口については、ハラスメント対応手順書(匿名性保護、機密性保持、報復禁止を含む)などを作成し窓口対応を行っています。2024年度は、ハラスメント相談件数は19件(うち1件は懲戒処分)となっており、被害者と加害者のプライバシーに配慮をした上で、拠点人事総務部門と相談事例を共有しハラスメントの発生防止に取り組んでいます。なお、2024年度は、太陽誘電において、ハラスメント防止教育(eラーニングの受講者数3,177名、管理監督者教育の受講者数283名)を実施しました。

グループ会社のハラスメント防止教育(研修)の様子

太陽誘電(常州)電子
韓国慶南太陽誘電
TAIYO YUDEN (SARAWAK)
太陽誘電(廣東)
TAIYO YUDEN (PHILIPPINES)

宗教上の慣習に対しては、従業員相談窓口を設置しています。(配慮の例:イスラム教徒のPrayer roomなど)
また、警備員を対象にした人権教育(ハラスメントの防止など)を定期的に実施しています。

太陽誘電は、正規・非正規にかかわらず、全ての従業員に健康診断などの医療、業務上の事由による障がいや病気などに対する災害補償、育児・介護休業などの福利厚生制度を適用しています。

児童労働・強制労働の禁止

太陽誘電グループは、児童労働や強制労働を禁止しています。
各拠点では、法令で定められた就労年齢に達していることを採用前に確認し、児童労働者の雇用発生を防止しています。

児童労働

国連グローバル・コンパクトには、「児童労働の実効的な廃止を支持すべきである」(原則5)とあります。
太陽誘電グループは順守事項に、『①児童労働を用いない。ここでいう「児童」とは、15歳または義務教育を修了する年齢、または国の雇用最低年齢の内、いずれか最も高い年齢に満たない者を指す。②若年労働者(児童の年齢以上で18歳未満の労働者)については、各国の法規に従い、超過勤務、深夜勤務、肉体的および精神的な健康や成長において有害または危険な業務に就労させない。』と記載し、その行動[取り組み]として、定期的に内部監査などで以下の内容等を確認しています。

  • 最低年齢に満たない労働者はいない。
  • 18 歳未満の労働者を夜勤や残業を含む健康や安全が危険に晒される可能性がある業務に従事させることは禁止されている。
  • 見習い/インターン/学生労働者の雇用が学習目標に適合している。

さらに、「児童応募者対応作業標準」などを制定し、児童労働があった場合の対処方法(身体的安全を保証し当該児童労働者を報復の脅威にさらさないこと、また健康診断および必要に応じた適切な処置を行なうことなど)も確認しています。

強制労働

国連グローバル・コンパクトには、「あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである」(原則4)とあります。
太陽誘電グループは順守事項に、『①強制労働、債務または奴隷労働、非自主的囚人労働または人身売買を用いない。②労働者(外国人、派遣・請負含む)を雇用する際に、預託金の支払いや公的に発行された身分証明書やパスポートなどの原本の提出を求めない。また労働者が募集関連の手数料を請求されないようにする。③従業員に体調不良や生理現象、休憩時間や労働時間終了後に職場から離れる権利、また合理的な通知を行うことを条件に雇用契約を終了する権利を与える。』と記載し、その行動[取り組み]として、定期的に内部監査などで以下の内容等を確認しています。

  • あらゆる種類の強制的、非自発的または搾取的囚人労働、年季奉公、拘束労働(債務による拘束を含む)または人身売買もしくは奴隷による労働力が認められていない。
  • 雇用条件は、雇用に先立ち(外国移民労働者と国内移住労働者の場合は、母国/地域を離れる前に)、母国語で記載された文書で提供され、主要な雇用条件は、労働者が雇用条件を理解できるように母国語を使って口頭で説明されている。
  • 労働者が所有する政府発行の身分証明書および個人的書類の原本が、雇用主および代理人により保持されていない。

採用決定者には、労働条件(法令要求を満足し、国際ルールに準拠したもの)の説明を行い、労使双方が労働条件を合意したうえで就労を開始しています。

太陽誘電は、従業員に転居を伴う人事異動を求めるとき、原則として人事異動の1カ月以上前に従業員本人ならびに労働組合にも伝達し、業務の必要性・人選の妥当性などについて労働組合が異議を申し出た場合は、労働組合と協議を行い、合意のうえで実施しています。

目標

児童労働・強制労働の禁止 順守率100%

2024年度 実績

国または地域 従業員数(千人) 児童労働の禁止 強制労働の禁止
日本 6.2 100% 100%
アメリカ、ヨーロッパ 0.1 100% 100%
中華圏 4.5 100% 100%
韓国 1.0 100% 100%
シンガポール、マレーシア、タイ 6.3 100% 100%
フィリピン 3.8 100% 100%

労働マネジメント

太陽誘電グループは、各拠点が適用する法令で定められた労働時間・休日・休暇を順守するとともに、RBA行動規範などで求められている労働条件を理解し、順守に努めています。

労働時間は信頼性の高いシステムで正しく管理され、各国・各地域の最低賃金や男女同一賃金などに関する法令を順守し、労働実績にもとづいた公平な報酬を支払っています。また、従業員やその家族の負担を考慮して、有給休暇、育児休暇、介護休暇などの休暇取得を促進するとともに、過重労働の防止や時間外労働時間の削減に取り組んでいます。

従業員とのコミュニケーション

太陽誘電グループは、事業活動を進めていくうえで従業員と会社の相互信頼関係を維持するため、従業員とコミュニケーションの場を設けて意見交換を行っています(労使協議会[団体交渉権の尊重又は支持を含む]などを定期的に開催)。

国連グローバル・コンパクトには、「結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべきである」(原則3)とあります。
太陽誘電グループは順守事項に、『各国の法規に従い、従業員が報復・脅迫・嫌がらせの恐れを感じることなく自由に結社することや、労働組合および労使親睦会、労使懇談会等に加入すること、抗議行動、労働者評議会などに加わる権利を尊重する。』と記載し、その行動[取り組み]として、定期的に内部監査などで以下の内容等を確認しています。

  • 労働者は自らの自由意志で労働組合を結成、またはそれに加入することができる。
  • すべての労働者が団体交渉を行うことができる法的権利、またはそれを控えることができる法的権利は尊重されている。
  • すべての労働者が平和的に集会を行う権利を尊重している。

太陽誘電は、「働きがい・生きがい・くらしやすさ」を基本方針として、働きやすい職場生活を実現するため、労働組合とともに改善を図っています。
事業上の重大な変更を行う場合は、「中央労使協議会」で労働組合と協議を行い、企業の永続的発展という共通目的を達成するため「労使検討委員会」において労働条件や職場環境の改善について協議を行っています。労働組合と会社において、安全衛生に関する事項を定めた労働協約を締結した上で、課題に対する協議・検討を行っています。団体交渉にあたっては、太陽誘電および労働組合は労働協約に定める通知期間や協議・交渉に関する条項に従うとともに、相互に相手方を尊重しかつ誠意と秩序をもって行うこととしています。

太陽誘電の労働組合

組合員数:2,742名
全従業員に対する加入率:81.9%(2024年度末時点)